アンビリーバーズ
初めてうちに来たときは、片手に乗るサイズだった。
人の膝によじ登ろうと爪立てるから、
足がなかなか悲惨な状態になって、
その後肩やら胸やら爪痕だらけで
こりゃ当分温泉にゃ行けんな、ってなって。
俺様なくせに甘ったれで焼き餅焼きで
人の自転車の後を鳴きながら追いかけて走って来るやつだった。
もうこれから重さに文句言いながら腕枕することもないのか。
生きてる時間軸が違うと言えども
後から生まれたやつに先に逝かれるのはこたえるなあ。
虹の橋なんか信じない。
そんなところで何年も無駄にすることはない。
とっとと生まれ変わって幸せになれば良い。
ただもう、うちには来るなよ。
先に逝かれるのも辛いが、置いて逝くのもいやだからな。