ふるへ

画面一杯の風にはためく白い布を見た瞬間

この言葉が浮かんだ。

 

「ふるへ」

 

さて、これはなんだ。

心の中でしばらく転がしてみる。

記憶の芋蔓をそっと引っ張ると、一緒についてきたのが

イザナギ」「イザナミ」「黄泉比良坂(よもつひらさか)」

どうやら「古事記」か「日本書紀」あたりの話か。

 

調べてみると出てきたのが「 布瑠の言」

『一(ひ)二(ふ)三(み)四(よ)五(い)六(む)七(な)八(や)九十(ここのたり)

布瑠部(ふるべ)由良由良止(ゆらゆらと)布瑠部(ふるべ)』

 

どうやらこの字面と読みの音で自分の中では

振る布としてイメージされていたようだ

 

さてこれは死者をも甦らせるという言霊であるらしい。

 

そうなるとシーツをかぶって踊る女性の姿に、ある意味を見てしまう。

シーツをかぶって出てくるのは「お化け(幽霊)」

同じ場所にいるはずなのに会えない二人

 

「何度生まれ変わろうとも」

 

彼女はもうこの世の人ではないのか

 

そして、恋人に送るにはちょっと地味なあの花束は。

 

結局未だ渡せない、「不細工な花」なんだろうか。