ウルトラQ

ウルトラシリーズとはウルトラQからの付き合いである。

あのおどろおどろしいオープニングは子供の怖いもの見たさを刺激するに充分な物だった。

毎週必死でテレビにかじり付いて見ていた。

なんせビデオなぞ無い時代、見逃してしまえばそれで終わり、後は臍を噛むばかり、という多分一番真剣にテレビを見ていた頃だったろう。

それでもそのほとんどは忘却の彼方に霞んでしまったが、一つだけ覚えている怖くて哀しい話がある。

とても危険な場所(火山の火口の中だったような)に調査か何かで行った男が、遭難して一人必死の思いで帰って来るんだが、その時には男は怪獣に変わり果てていて、誰にも気付いて貰え無いまま退治されてしまうという、恐しく救いの無い話だったと思う。

(長年の内に記憶が改竄されているおそれは多分にある。)

それでもただ会いたいと訪れた恋人の家の、窓から覗く部屋の中には、彼の死を嘆く彼女と(彼は死んだと報告されていた)彼女を慰める男(もしかしたら、彼の友人だったかもしれ無い)を見て、結局は何も伝えられないままたおされてしまう男が子供心に切なくて可哀そうだった。

 

これで「そんな話なんか無かったよ?」とか言われたらちょっと立ち直れないかもしれ無い。

 

なんでこんなことを思い出したのかと言えば、

どこかでウルトラシリーズを作ったのは「戦争を見てきた人達」だという記事を読んだから。

そうしたらなんか、すとんと腑に落ちてしまったんだ。

あれは傷痍軍人の話だったんだと。

戦地から命からがら帰ってきたものの、大怪我を負い四肢が欠損したり、身体機能を失っていたり、見る影もなくなり、最初は喜んでくれた家族にとっても段々重荷になって、「厄介者」に変わり果ててしまう人もきっといたんだろうな。

 

戦争なんかするもんじゃねぇや。